NISSHAのOEM・受託開発

スマートフォンや家電、産業用機器など、電子機器製品の多くはOEMによって生産されています。

OEMとはOriginal Equipment Manufacturingの略で、販売元の企業が企画・設計した製品を、メーカー企業が受託生産することです。NISSHAはスマートフォンをはじめとするさまざまな電子機器の分野で、OEM企業として、さらには単なる受託生産にとどまらない新しい価値を提供する受託開発企業としての実績を積み重ねてきました。

ここでは、NISSHAがお客さまのパートナーとして選ばれてきた理由を紹介します。

優れた品質と高い付加価値を提供する独自のパターニング技術

NISSHAは Line/Space =10/10µmという高精度のパターンをフィルムの両面に加工する技術を持っています。

従来技術ではフィルム2枚を貼り合わせて構成されていたデバイスが、NISSHAの技術を使うことで1枚のフィルム上に構成することが可能になります。

これにより貼り合わせ誤差がなくなり、より高精度なデバイスを実現できます。

 

この技術を使用したデバイスとして、NISSHAが得意としている静電容量方式タッチセンサーがあります。

静電容量方式タッチセンサーは、一般的にはX方向の電極(X層)が形成されたフィルムと、Y方向の電極(Y層)が形成されたフィルムの2枚のフィルムを貼り合わせて製造されます。私たちも開発当初はこの構成のタッチセンサーを製造してきました。

しかしX、Yの電極を別々のフィルムに形成して貼り合わせる場合、電極パターンの位置の誤差が大きくなってしまい、タッチセンサーの位置検出精度が悪くなるという問題がありました。

そこで、私たちNISSHAはフォトエッチングプロセスによって1枚のフィルムの両面を同時にパターニングする独自の製造技術により、この問題を解決しました。

この技術により、フィルムの片面にX層を、もう片方の面にY層を同時に形成することが可能になり、電極パターン間の誤差を飛躍的に小さくすることができます。その結果、タッチセンサーの位置検出精度の向上と生産ばらつきを抑えることができ、製品の価値を飛躍的に向上させることに成功しました。

従来技術

NISSHAの独自技術

スマートフォンなどの情報端末では、ディスプレイの進化とともに表示画面はできるだけ大きく、外周の配線を被覆する額縁部分はできるだけ小さくしたいというニーズがあります。

NISSHAは両面パターニング技術によってこの要求を実現し、狭小化した額縁部分にタッチセンサーの配線を収めることでお客さまの製品開発に貢献しました。

このようなNISSHA独自のパターニング技術は、OEM先としてお客さまから高く評価される理由になっています。

大ロットのOEMを可能にするNISSHA独自の開発、製造体制

安定した大量生産を実現するために、NISSHAでは独自の開発体制と生産管理システムを確立してきました。

次はそれらのシステムを紹介します。

PM(プロジェクトマネジメント)による一貫した進捗管理

NISSHA独自の開発体制としてPM(プロジェクトマネジメント)システムを取り入れています。
(PMは宇宙開発の現場などでも多く用いられている開発の進行状況を管理するシステムですが、日本の製造業においてはまだ広く浸透はしていません。)

NISSHAではプロジェクトを円滑にすすめるため、プロジェクトごとに責任者となるプロジェクトマネージャーを設置しています。これまで、開発の進捗は各担当に任されがちでしたが、プロジェクトマネージャーを設置することで開発全体を見たマネジメントが可能になります。これにより開発遅れや不足リソースなどを早期に発見でき、開発スケジュールに沿った開発がおこなえるようになります。

新しい製品を開発する際には試行錯誤がついてまわりますので、ときにはすぐに上手く行かず、進行が遅れがちになる部門も発生します。

しかし、NISSHAではPMにより早期から開発の遅れをチェックし、必要なところにはフォローを入れる体制が整っています。

高い歩留まりを実現する自工程保証システム

NISSHAの工場では自工程保証システムを採用しています。

ロールtoロールでのデバイス生産はたくさんの工程に分かれています。

ひとつの工程で不具合が発生すると、その不具合は次の工程に引き渡され、最悪の場合はロール全体の不良発生に繋がりかねません。

そのため、工程の一つ一つが厳密に管理される必要が有ります

自工程保証システムの思想は「次の工程をお客さまだと思う」ことです。お客さまに製品を出荷するときと同じように、次の工程で満足してもらえるよう、自工程で製造されたロールの品質を自工程で保証します。それにより、高い歩留まりを維持し出荷後に問題となる不良の軽減にもつながります。

スマートフォンやゲーム機などのコンシューマー向け電子機器製品は、製品の人気により急激な増産を求められることも少なくありません。

NISSHAではPMによるプロジェエクト管理と自工程保証システムによる入念な品質管理によって、姫路工場を中心に、急な需要の増加にも柔軟に対応することでお客さまの製品の販売拡大に貢献しています。

難しいOEM案件にも立ち向かう技術者のスキル

NISSHAが多くのお客さまからOEM先として選ばれる最大の理由は技術者たちの高い対応能力にあります。

携帯端末をはじめとした電子機器業界は変化のスピードが速く、常により高い性能や先進性が求められます。

そのため、高い要求に応える力や、困難な状況にもあきらめない力、お客さまのニーズを先読みして開発をする力などが求められます。NISSHAの技術者にはそのすべてが揃っています。

NISSHAは1980年代から抵抗膜方式のタッチセンサーの製造を開始し、2009年から世界の動きをけん引するように静電容量方式タッチセンサーの製造を行ってきました。タッチセンサーは特に品質管理や工程管理の重要ポイントをつかむのが難しいため、経験の浅い企業では安定した品質を確保することが難しいケースもあります。

NISSHAの技術者たちはタッチセンサーの開発、製造を通して、世界でも有数の情報機器メーカーが求める高いレベルの品質と生産量の要求に応えてきました。その実績がノウハウとして蓄積され、電子機器特有の短い開発スパンでも、高い品質の製品の供給を実現しています。

お客さまの期待に応えるOEMパートナー

NISSHAでは独自の製造技術とノウハウを蓄積し、お客さまのご要望や目的により、タッチパネルをはじめとするさまざまなデバイス製品を開発、製造してきました。

期待に応えるOEMパートナーとして、お客さまとともに新しい未来を切り開いていきます。

関連記事

銅の成膜方法
電子部品の配線には、銅薄膜をパターニングしたものが多く使われています。この銅薄膜はフィルムなどの基材 ... もっと見る

銅の成膜方法

フィルム基材にも適用可能 ウエットエッチングによるパターニングの特徴を解説
プリント基板やフレキシブル基板(Flexible printed circuits、FPC)などを製 ... もっと見る

フィルム基材にも適用可能 ウエットエッチングによるパターニングの特徴を解説

ウエットエッチングとドライエッチングを比較 メリットやデメリット、用途に注目
エッチングは、プリント基板やフレキシブル基板(Flexible printed circuits、F ... もっと見る

ウエットエッチングとドライエッチングを比較 メリットやデメリット、用途に注目

エッチングできる金属材料の特徴と用途
エッチング加工とは、酸やアルカリの薬液によって素材表面を腐食除去することで、目的の形状を生成する加工 ... もっと見る

エッチングできる金属材料の特徴と用途

フィルムデバイス
人間が感じる触覚の評価指標と計測デバイスについて解説
5Gなどの通信技術の向上と共に、ロボットの遠隔操作のように「自分の体と同調させて操作をする」技術や、 ... もっと見る

人間が感じる触覚の評価指標と計測デバイスについて解説

温度センサーのカスタム生産に対応するNISSHAの薄膜金属加工技術
近年、さまざまな分野で温度センサーの必要性が高まっています。 例えば、燃料電池自動車に搭載されている ... もっと見る

温度センサーのカスタム生産に対応するNISSHAの薄膜金属加工技術

大型ひずみゲージの量産に対応可能 NISSHAのエッチング加工技術
ひずみゲージは民生分野から産業分野に至るさまざまなシーンで用いられています。構造物の強度試験や劣化診 ... もっと見る

大型ひずみゲージの量産に対応可能 NISSHAのエッチング加工技術

フィルムデバイス
センサー電極に使われる導電材料の種類、各材料の加工方法や用途をご紹介
センサーは、さまざまな物理現象、化学現象を電気などの信号に変換する部品です。たとえば、光に反応する光 ... もっと見る

センサー電極に使われる導電材料の種類、各材料の加工方法や用途をご紹介

フィルムデバイス
こんなことも可能!フォトレジストで製造できる微細な構造体をご紹介
フォトリソグラフィは、光(主に紫外線)を使用して基板上のCu薄膜などにパターンを形成する技術です。パ ... もっと見る

こんなことも可能!フォトレジストで製造できる微細な構造体をご紹介

透明デバイスを実現するための光学特性 透明性の向上方法について解説
現在、タッチパネルはスマートフォンや大型ディスプレイ、カーナビなど、日常生活に欠かせない製品の多くに ... もっと見る

透明デバイスを実現するための光学特性 透明性の向上方法について解説

フィルムデバイス
NISSHAのフィルムデバイス加工技術で実現する高い加工精度
フィルム基材の上にセンサーなどの電子部品を形成したフィルムデバイスは、現在多くの製品に採用されていま ... もっと見る

NISSHAのフィルムデバイス加工技術で実現する高い加工精度

AR
現実とデジタル情報を融合させるxR(xReality)技術は、近年、開発と実用化が進んできました。 ... もっと見る

開発と実用化が進むxR-仮想世界で活躍するインターフェース技術を紹介

薄い、軽い、曲げられる フィルムヒーターの特長を解説
Contents1 フィルムヒーターとは2 各種フィルムヒーターの特長2.1 電熱線ヒーター2.2 ... もっと見る

薄い、軽い、曲げられる フィルムヒーターの特長を解説

フィルムデバイス生産で活躍するフォトエッチング加工の基礎知識
Contents1 エッチング加工の基礎2 高い加工精度とハイスループット NISSHAのロール t ... もっと見る

フィルムデバイス生産で活躍するフォトエッチング加工の基礎知識

フィルムデバイスの基材となるベースフィルムの種類と特長
Contents1 ベースフィルムの役割2 ベースフィルムの種類と特長2.1 PET2.2 PC2 ... もっと見る

フィルムデバイスの基材となるベースフィルムの種類と特長

フィルムデバイスの量産技術 NISSHAのロール to ロール技術を紹介
Web検索からこの記事にたどり着かれた皆さんは「ロールtoロール」という言葉を既にご存知の方も多いで ... もっと見る

フィルムデバイスの量産技術 NISSHAのロール to ロール技術を紹介

光と電気を通す透明導電膜
Contents1 透明導電膜とは2 透明導電膜の種類2.1 〇  AgNW ( 銀ナノワイヤ )2 ... もっと見る

光と電気を通す透明導電膜

どのように選ぶ? フィルムデバイスの加工方法 
Contents1 フィルムデバイス加工技術の基礎2 パターニング エッチングプロセス、スクリーン印 ... もっと見る

どのように選ぶ? フィルムデバイスの加工方法 

フィルムデバイスの活用事例
Contents1 私たちの身近で幅広く活躍するフィルムデバイス2 フィルムデバイスの活用事例2.1 ... もっと見る

フィルムデバイスの活用事例

フィルムデバイス
フィルムデバイスとは
Contents1 フィルムデバイスとは1.1 フィルムデバイスとフレキシブル基板の違い1.2 日常 ... もっと見る

フィルムデバイスとは

フィルムデバイス

見積り依頼/技術に関する相談

フィルムディバイス開発や量産におけるご相談はお気軽にご連絡ください

CLICK